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史跡紹介

【葛城一言主神社】雄略天皇との逸話が古事記に残る一言主大神を祭る神社

【葛城一言主神社】雄略天皇との逸話が古事記に残る一言主大神を祭る神社

古事記神社一言主

探訪日:2015年12月6日

掲載日:2016年2月1日

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歴史

葛城山にて第21代 雄略天皇(幼武尊わかたけるのみこと)が狩りをしている時に、一言大神は顕現けんげん(はっきり姿を現わす)されました。
その際、一言主大神は雄略天皇と同じ姿で現れたと言われています。
雄略天皇はそれが大神であることを知ると、大御刀・弓矢・百官の衣服を奉献しました。
 
「古事記」によると、一言主大神は雄略天皇に名を問われ「吾は悪事も一言、善事も一言、言離ことさかの神、葛城の一言主の大神ぞ」と、答えたと記録されています。
 
一言主大神が顕現された場所なので、ここ葛城一言主神社は全国の一言主神社の総本山になっています。
願い事を一言だけ聞いてくれることから、地元では「いちごんさん」として親しまれています。
 
ちなみに、神社の創建時期は不明です。
 
 

祭神

主神:葛城之一言主大神かつらぎのひとことぬしのおおかみ
幼武尊
 
 

「古事記」と「続日本紀」の描写の相違

一言主の描かれ方が「古事記」と「続日本紀」では異なります。
「続日本紀」の記述によると、高鴨神(一言主大神)は雄略天皇と獲物を争ったことで、天皇が怒り土佐国に島流しにあっています。
このような内容の変化は一言主を祀っていた賀茂氏の地位が落ちたことに関係していると言われています。
 
 

境内の案内

葛城山を背に鳥居が静かに佇んでいます。
見逃してしまったのですが、鳥居の後ろには土蜘蛛塚があります。(境内にもある)

鳥居
石で造られた鳥居

 
綺麗に整備されている社殿までの階段。
案内の「のぼり」が少し残念。。。

階段
社殿に続く階段
階段
階段の上からの一枚

 
階段を登ると目の前に社殿が現れます。
拝殿は結構立派な建物で、本殿は山の木々に包まれているように見えます。
向拝は派手な装飾は無いが、垂木たるきはいい味出ています。

社殿
社殿と参拝者
向拝
向拝の垂木

 
拝殿のすぐ横に御神木の大きな銀杏があります。
樹齢はなんと約1200年と伝えられています。

御神木の銀杏
黄色の葉を付けた御神木の銀杏
摂末社
境内の奥にある摂末社

 
 

土蜘蛛塚

神武天皇の土蜘蛛征伐による蜘蛛塚の碑が拝殿の横に建てられています。
木に隠れて見えにくいので、見落としそうになりました。

土蜘蛛塚
木に隠れた土蜘蛛塚の碑
説明板
謡曲「土蜘蛛」の説明板

 
 

葛城道の九品寺への道中

葛城道を九品寺の方へ歩いていると、第2代 綏靖すいぜい天皇の葛城高丘宮かづらきのたかおかのみや跡の碑がありました。

綏靖天皇葛城高丘宮跡
森の中にある葛城高丘宮跡の碑

 
葛城道の道中は東に大和三山が見えるので、歴史に思いをはせるのには事欠きません。
葛城氏が葛城山を背にどのような思いで大和三山を見つめていたのかを想像するとさらに楽しくなります。

葛城道道中
大和三山が見渡せる風景ですが電信棒が残念

史跡情報

葛城一言主神社

住所:奈良県御所市森脇432

略式年表
  1. 旧石器時代

    西暦:〜紀元前1万4000年頃
    都:不明
  2. 縄文時代

    西暦:紀元前1万4000年頃~紀元前300年頃
    都:不明
  3. 弥生時代

    西暦:紀元前300年頃~250年頃
    都:不明
  4. 古墳時代

    西暦:250年頃~600年代の末頃
    都:不明
  5. 飛鳥時代

    西暦:592年~710年
    都:飛鳥京(大和国:奈良県明日香村)
    遷都(645年):難波宮(摂津国:大阪市中央区)
    遷都(655年):飛鳥京(大和国:奈良県明日香村)
    遷都(667年):近江大津宮(近江国:滋賀県大津)
    遷都(672年):飛鳥浄御原宮あすかのきよみはらぐう(大和国:奈良県明日香村)
    遷都(694年):藤原京(大和国:奈良県橿原市)
    乙巳いっし・おっしの変(645年)
    中大兄皇子(後の天智天皇)と中臣鎌足(後の藤原鎌足)が蘇我入鹿を暗殺した政変。
    蘇我氏の本宗家は滅亡した。
    蘇我氏などの飛鳥の豪族がいる場所から、難波宮に遷都(645年)。
    ・大化の改新(646年)
    乙巳の変後に改新の詔に基づく政治改革。
    天皇を中心とする中央集権を目指した。
    ・白村江の戦い(663年)
    朝鮮半島の白村江で行われた、倭国・百済連合軍と唐・新羅連合軍との戦争。
    しかし倭国・百済連合軍は敗戦。
    日本侵攻を防ぐため太宰府に水城を築き、九州沿岸には防人を配備した。
    さらに防衛のため、近江大津京への遷都も行っている(667年)。
    ・壬申の乱(672年)
    天智天皇の死後、大海人皇子(後の天武天皇・天智天皇の異母弟)が反乱を起こし、大友皇子(後に弘文天皇の称号を得る・天智天皇の息子)を自決に追い込んだ内乱。
    乱後、大海人皇子は天武天皇となり、飛鳥浄御原宮を造って即位した。
    ・大宝律令(701年)
    661年、天武天皇により律令制定の詔が出され、天武没後の689年に持統天皇により飛鳥浄御原令が施行された。
    ただ、まだこの段階では「令」のみで「律」は制定されていなかった。
    そして、701年に文武天皇により大宝律令が公布された。
    日本初の本格的な律令政治の基本法である。
    また、編纂には藤原鎌足の息子、藤原不比等も関わっていた。
  6. 奈良時代

    西暦:710年~794年
    都:平城京(大和国:奈良県奈良市)
    遷都(744年):難波宮(摂津国:大阪市中央区)
    遷都(745年):紫香楽宮(滋賀県甲賀市)
    遷都(745年):平城京(大和国:奈良県奈良市)
    遷都(784年):長岡京(山城国:京都府長岡京市)
    ・平城遷都(710年)
    710年に元明天皇により平城遷都の詔が出された。
    平城京は唐の長安や北魏洛陽城を模して建造されたとされている。
    ・古事記の成立(712年)
    古事記の最初の編纂は天武天皇の時代に遡ります。
    天武天皇は稗田阿礼ひえだのあれ誦習しょうしゅう(書物などを暗記する)を命じました。
    しかし、天武天皇が亡くなったので、元明天皇が太安万侶おおのやすまろに命じ、稗田阿礼が誦習していた内容をまとめさせました。
    そして、712年に太安万侶から元明天皇に献上されました。
    現存する最古の「歴史書」とされています。
    ・日本書紀の完成(720年)
    日本書紀は天武天皇の命により編纂が始まります。
    681年に川島皇子らに編纂を命じ、720年に天武天皇の子である舎人とねり親王がまとめ、元正天皇に奏上されました。
    現存する最古の「正史」とされています。
    ・長屋王の変(729年)
    724年に藤原不比等の四人の息子(武智麻呂・房前・宇合うまかい・麻呂)は、聖武天皇に嫁いだ妹の光明子を皇妃にしようとします。しかし、長屋王が反対をしました。
    長屋王は、父が天武天皇の皇子である高市皇子で、母は天武天皇の皇女である御名部皇女みなべのひめみこであり、また左大臣という臣下では最高位にありました。
    辛巳事件しんしじけんと呼ばれる藤原四兄弟と長屋王による対立です。
    そして729年に「長屋王は密かに左道(呪い・妖術)を学びて国家を傾けんと欲す」という密告があり、藤原宇合らが率いる六衛府りくえふが長屋王の邸宅を包囲し、長屋王を自害に追い込みました。
  7. 平安時代

    西暦:794年〜1185年
    都:平安京(山城国:京都市)
    遷都(1180年):福原京(摂津国:兵庫県神戸市)
    遷都(1180年):平安京(山城国:京都市)
    ・平安京遷都(794年)
    続日本記しょくにほんぎの完成(797年)
    ・承平天慶の乱(935年〜941年)
    ・前九年の役(1051年〜1062年)
    ・後三年の役(1083年〜1087年)
    ・保元の乱(1156年)
    ・平治の乱(1160年)
    治承・寿永じしょう・じゅえいの乱(1180年)
  8. 鎌倉時代

    西暦:1185年〜1333年
    都:平安京
    ・文永の役(1274年)
    ・弘安の役(1281年)
    ・元弘の変(1331年)
  9. 室町時代

    西暦:1336年~ 1573年
    都:平安京
    ・応仁の乱(1467年)
  10. 安土桃山時代

    西暦:1573年~1603年
    都:平安京
    ・川中島の戦い(1553年〜1564年)
    ・姉川の戦い(1570年)
    ・賤ヶ岳の戦い(1583年)
    ・小牧・長久手の戦い(1584年)
    ・関ヶ原の戦い(1600年)
  11. 江戸時代

    西暦:1603年~1868年
    都:平安京
    ・大坂冬の陣(1614年)
    ・大坂夏の陣(1615年)
    ・大塩平八郎の乱(1837年)
    ・黒船来航(1853年)
    ・桜田門外の変(1860年)
    ・禁門の変(1864年)
  12. 明治時代

    西暦:1868年~1912年
    都:東京府
    ・王政復古の大号令(1868年)
    ・廃藩置県(1871年)