読了本
神社から古代氏族のルーツを解き明かす
神社が語る 古代12氏族の正体
大和で実権を握っていた天皇家の祖神が遠い伊勢の地にあるのはなぜか。また三種の神器の一つ草薙の剣はなぜ熱田神宮で祀られているのか。
その他にも古代氏族が祀っている神々や神社には謎が多々あります。
本書では「記紀神話」などからその謎を読み解いていきます。
読了後は自分の地域にある神社や地名に残る歴史の面影を追いかけたくなるでしょう。
掲載日:2016年2月21日
所感
主な神社から古代氏族のルーツを解き明かしていく本書は、謎解きをしているみたいで単純に楽しめました。
特に興味深かった氏族は、乙巳の変により中大兄皇子と中臣鎌足によって暗殺された蘇我入鹿で有名な蘇我氏です。
日本書紀により蘇我氏は「悪者」扱いになっていますが、そもそも日本書紀を編纂したのは中臣鎌足の息子の藤原不比等です。
父親にとっての政敵を「悪者」にするのは当然だと言えます。
本書では日本書紀からは見えてこない蘇我氏の実情を解き明かしていきます。
蘇我氏が祀っている「宗我坐宗我都比古神社」を地元の人々は大切にされているそうです。
乙巳の変により蘇我氏「本宗家」は滅亡しましたが、蘇我氏の末裔は生きています。
本書ではもっと詳細に古代氏族を掘り下げており、「記紀神話」や「地名」「歴史」などから古代氏族の姿を明らかにしていきます。
少し著者の考えの強引さや資料の乏しさなどで真意の程が定かではない箇所もありますが、神社にまつわる歴史にとても興味がそそられました。
自分の住んでいる地域にある神社の名称や祭神を見るのが楽しくなり、また地名に古代氏族の名前が残っているのを見つけるとさらに興奮を覚えました。
神社が語る古代12氏族の正体 [ 関裕二 ] |
本書が取り上げている12氏族
・出雲国造家:出雲大社
・物部氏:石上神宮、磐船神社
・蘇我氏:宗我坐宗我都比古神社
・三輪氏:大神神社
・尾張氏:熱田神宮
・倭氏:大和神社
・中臣氏:枚岡神社
・藤原氏:春日大社
・天皇家:伊勢神宮
・大伴氏:伴林氏神社、降幡神社
・阿部氏:敢国神社
・秦氏:伏見稲荷大社
各神社の場所
・出雲大社:島根県出雲市大社町杵築東195
・石上神宮:奈良県天理市布留町384
・磐船神社:大阪府交野市私市9丁目19-1
・宗我坐宗我都比古神社:奈良県橿原市曽我町1191
・大神神社:奈良県桜井市 三輪1422
・熱田神宮: 愛知県名古屋市熱田区神宮1丁目1-1
・大和神社: 奈良県天理市 新泉町306
・枚岡神社: 大阪府東大阪市出雲井町7-16
・春日大社:奈良県奈良市春日野町160
・伊勢神宮:三重県伊勢市宇治館町1
・伴林氏神社:大阪府藤井寺市林3丁目6-30
・降幡神社:大阪府南河内郡河南町山城747-15
・敢国神社:三重県伊賀市一之宮877
・伏見稲荷大社:京都府京都市伏見区深草藪之内町68
奈良と大阪に多く集まっていますが、本書では上記以外の神社や史跡も紹介しています。
神社へ参拝に行かれる際には「祭神」や「歴史」に注目するとさらに興味が湧くと思います。
神社が語る古代12氏族の正体 [ 関裕二 ] |